Unilever が AI サプライチェーン連携を世界30社へ展開──メキシコ実証で店頭在庫98%
サマリー
Unilever は小売パートナーと共同開発した AI 駆動の顧客連携モデルを拡大。Walmart とのメキシコ初期実証では店頭での製品供給率を98%に高めた。英米を起点に、世界のモダントレード売上の15%超に相当する主要30社へ展開を進める。
「顧客連携」をサプライチェーンの中心に置く
消費財大手の Unilever は、エンドツーエンドのサプライチェーンを最適化する取り組みの一環として、小売パートナーとの連携そのものを AI で再設計するモデルを構築している。従来、需要予測や在庫配置は自社の内部データを軸に組み立てられがちだったが、同社が進めるのは取引先の小売チェーンと共同で設計する「カスタマー・コネクティビティ(顧客連携)」を中心に据えるアプローチだ。
このモデルでは、メーカーと小売の双方が持つデータを突き合わせ、どの商品をどの店舗にどのタイミングで供給するかを AI が継続的に調整する。狙いは、生産から店頭までの流れを一気通貫で滑らかにし、欠品や過剰在庫といった摩擦を減らすことにある。
重要なのは、最適化の評価軸を社内効率ではなく、買い物客が実際に目にする「店頭での品揃え」に直結させている点だ。サプライチェーンの善し悪しを、最終的に棚の上で測ろうとしている。
Walmart とのメキシコ実証──店頭供給率98%
このモデルの効き目を最初に示したのが、Walmart とメキシコで実施した初期パイロットだ。両社が協働した結果、店頭での製品供給率(point of sale availability)を98%まで引き上げた。買い物客が棚に行ったとき、目当ての商品がきちんと並んでいる確率を高めたということだ。
供給率という指標は、メーカーにとっても小売にとっても利害が一致しやすい。欠品はメーカーの売上機会の損失であると同時に、小売にとっても顧客満足の低下に直結する。Unilever が共同設計という形を選んだのは、この共通指標を軸に置けば、双方の投資と協力を引き出しやすいからだと考えられる。
英米を起点に、グローバル主要30社へ
Unilever はこのモデルを英国と米国を起点に、カテゴリーを横断しながらグローバルへ広げようとしている。対象として見据えるのは主要30社の小売パートナーで、これは同社のグローバルなモダントレード(近代的小売)売上の15%超に相当する規模だという。
展開の論点を整理すると、次のようになる。
- 小売パートナーとの共同設計を前提とした AI 顧客連携モデルであること
- 評価軸を店頭供給率という、買い物客が見る指標に置いていること
- 英米を起点にカテゴリー横断・グローバルで展開し、主要30社(モダントレード売上の15%超)を対象とすること
サプライチェーン領域での実行力は外部からも評価されており、Unilever は 2026年の Gartner Supply Chain ランキングで最上位の Masters カテゴリーを維持している。AI を起点とした顧客連携の取り組みは、こうした実行基盤の上に積み重ねられている。
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