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最新 Gen AI 事情
公開2026.01 テーマ金融・決済 · 米国

Mastercard が Agent Suite と独自基盤モデル LTM を投入──生成AIで不正カード検出率を2倍に

サマリー

Mastercard が agentic AI を顧客の日常業務に組み込む Agent Suite を発表。あわせて構造化データで学習する独自の大規模テーブルモデル(LTM)を構築し、数十億件の匿名化取引で訓練する。生成AIの展開により、不正利用前の侵害カード検出率を2倍に高めた。

Agent Suite──顧客が自らエージェントを組み立てる時代へ

Mastercard は、agentic AI(自律的に判断・実行する AI エージェント)を顧客の日常業務に組み込むための新パッケージ「Mastercard Agent Suite」を発表した。デジタルコマースが急速にエージェント主導へと移行するなかで、銀行や加盟店といった顧客自身が、用途特化型のエージェントを構築・テスト・展開できる環境を提供する狙いがある。

単なるツール提供にとどまらないのが特徴だ。Mastercard はグローバルな助言チームを編成し、顧客が自社の業務課題にエージェントをどう適用するかを設計段階から伴走する。AI を「導入して終わり」にせず、現場の運用に定着させるまでを支援する体制を整えている点が、従来のソフトウェア提供との違いを際立たせている。

独自基盤モデル LTM──構造化データに特化するという選択

Agent Suite と並んで注目されるのが、Mastercard が独自に構築した基盤モデル「LTM(Large Tabular Model、大規模テーブルモデル)」である。汎用的な大規模言語モデルが主に自然言語テキストから学習するのに対し、LTM は決済領域の中核をなす構造化データ(大規模なテーブル形式のデータ)を直接学習対象とする。

LTM は数十億件規模の匿名化された取引で訓練されており、将来的には数千億件規模へと拡大する計画が示されている。さらに、対象とするデータも取引そのものにとどまらず、加盟店の位置情報、不正、認証、チャージバック、ロイヤリティといった決済を取り巻く多様な領域へ広げていく方針だ。

LTM が扱う領域は、たとえば次のように広がっていく。

  • 数十億件から数千億件規模へと拡大する匿名化取引データ
  • 加盟店の位置情報による文脈理解
  • 不正・認証・チャージバックといったリスク関連シグナル
  • ロイヤリティを含む顧客行動データ

成果と外部連携──不正検出2倍とエージェント型コマース

生成AIの展開によって、Mastercard は侵害されたカードの検出率を2倍に高めたとしている。不正利用が実際に発生する前に侵害カードを特定できれば、被害の未然防止と顧客の信頼維持に直結する。決済事業者にとって、不正検出は投資対効果(ROI)が比較的見えやすい領域であり、AI 活用の入口として説得力を持つ。

同時に Mastercard は、Microsoft をはじめとする AI プラットフォームとの連携を進め、エージェント型コマースの拡大を図っている。自社の構造化データに根ざしたモデルと、外部プラットフォームの汎用基盤を組み合わせることで、エコシステム全体での適用範囲を広げようとしている。

Meta Flow AI の視点汎用 LLM の性能が均質化していくなかで、競争優位の源泉は「誰もが使えるモデル」から「自社固有のデータに特化したモデル」へと移りつつある。Mastercard の LTM は、決済という構造化データの宝庫を持つ企業が、その資産をそのまま学習対象に変えられることを示す好例だ。日本企業にとっても、まず ROI が明確な不正検出やリスク管理といった領域を入口に据え、自社データに根ざした AI を段階的に育てていくアプローチは現実的な選択肢となる。

海外の本番化事例を、自社の業務にどう翻訳するか。Meta Flow AI が伴走します。

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出典