Reliance が AGM 2026 で Jio Call Agent を発表──5億ユーザー対象、主権AI基盤を Jamnagar に
サマリー
Reliance は2026/06/19 の AGM で、通話に参加して文字起こし・要約し、配車・フード注文・予約まで実行する「Jio Call Agent」を発表(「Hey Jio」起動、5億超ユーザー対象、年内)。あわせて Nvidia GB300 による初期120MWのAI計算基盤を年内に稼働させ、「Reliance Intelligence」として主権AIバックボーンを Jamnagar に構築する。
通話そのものを「エージェントの場」にする
インドの複合企業 Reliance Industries は、2026年6月19日に開催した年次株主総会(AGM 2026)で、新しい音声AIアシスタント「Jio Call Agent」を発表した。会長の Mukesh Ambani 氏が掲げたビジョンは明快で、すべての通話・アプリ・家庭にAIを行き渡らせるというものだ。その第一歩として選ばれたのが、もっとも日常的な接点である「電話の通話」だった。
Jio Call Agent は、ユーザーが「Hey Jio」と呼びかけることで通話そのものに参加する。会話をリアルタイムで文字起こしし、終了後には要約を生成する。さらに、通話の文脈を踏まえて配車の手配、フードの注文、予約の確定といった実務的なアクションまで実行する設計だという。聞き取って終わるアシスタントではなく、通話の流れのなかで具体的なタスクを完了させるエージェントとして位置づけられている。
対象規模は5億を超えるユーザーで、年内の提供開始を見込む。これは新しいアプリを一からインストールさせて普及を待つのではなく、すでに膨大な利用者を抱える通話レイヤーへ直接エージェントを差し込むアプローチである。
Jamnagar に築く「主権AI」のバックボーン
消費者向けの発表と並んで強調されたのが、自前のAI計算基盤だ。Reliance は西部グジャラート州 Jamnagar に、「Reliance Intelligence」と名付けた主権AI(ソブリンAI)のバックボーンを構築する。データと計算基盤を国内・自社の管理下に置くという考え方が、その中心にある。
初期段階では120MW規模のAI計算を2026年末までに稼働させる計画で、Nvidia の GB300 を採用する。公表された数値では、これは H100 換算で7.5万基を超える規模に相当し、将来的には20万基超への拡張を視野に入れている。消費者向けエージェントの巨大な需要を、外部クラウドに依存せず自社インフラで支えようという意図が読み取れる。
主要な要素を整理すると次のようになる。
- Jio Call Agent:通話に参加して文字起こし・要約し、配車・フード注文・予約を実行。「Hey Jio」で起動、5億超ユーザー対象、年内提供。
- AI計算基盤:初期120MWを2026年末までに稼働。Nvidia GB300 採用、H100換算で7.5万基超、将来は20万基超へ。
- Reliance Intelligence:Jamnagar に置く主権AIのバックボーン。
消費者規模 × 自前インフラの垂直統合
今回の発表で注目すべきは、個々の機能の新しさよりも、その組み合わせ方にある。5億超という消費者規模と、自社で抱える計算インフラを、同じ企業が垂直に統合しようとしている点だ。通話・アプリ・家庭という生活の接点をエージェントで押さえつつ、それを動かす計算資源も主権AIとして自前で持つ。需要側と供給側を一社が握る構図である。
とりわけ通話レイヤーへのエージェント実装は、これまであまり踏み込まれてこなかった接点だ。検索やチャットアプリではなく、もっとも摩擦の少ない「電話」のなかでタスクが完結するなら、ユーザーの行動を新しいアプリの習得なしに変えられる可能性がある。一方で、規模が大きいほど精度・プライバシー・実行の信頼性に対する要求も跳ね上がる。発表された計画がどこまで本番品質で届くかは、今後の展開を見極める必要がある。
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